神奈川県高校入試 平成30年度 数学 解説
(この記事は以前アメブロで書いたものをそのまま移動させたので、ところところ記事の投稿時間と噛み合わない箇所があります。)
こんばんは。
今日は先日の神奈川県高校入試、平成30年度の数学の解説をしたいと思います。
今年の入試の数学は問1まで選択問題になるなど、簡単なのかと思いきや、各大問の最後の問題などの難しい問題のみ記述式という内容で、非常に点数が特定の数値に固まりそうな印象でした。
そういう今では難しくなったと言えるかもしれませんね。
また、問題の性質上、計算が多いために時間の問題だったのではないでしょうか。
序盤の問1〜3はほとんどの問題は難しくないので、一部割愛しながら問2の(オ)から解説したいと思います。
問2 (オ)
√53−2nが整数となるような正の整数nの個数を求めなさい。
これはつまりルートの中を計算した結果が何かの2乗の形となることで、ルートが外れる状態にすればよいので、
√53−2n
=√1、√4、√9、√16、√25、√36、√49
となるnの整数を探していきます。
√53=√1とするには2n=2になればいいので、
n=1→◯
√53=√4の場合 2n=49 →答えが整数にならないので×
√53=√9の場合 2n=44 n=2となるので→◯
√53=√16の場合 2n=37→整数でないので×
√53=√25の場合 2n=28 n=14→◯
√53=√36の場合 2n=17→整数でないので×
√53=√49の場合 2n=4 n=2 →◯
全部で◯となったものが4つあるので、答えは4個の4の選択肢が正解です。
A.4
(カ)の平均値は各階級での階級値を出して、階級値×度数をして出た数値の和を全体の20人で割れば簡単に出せるので具体的な解説は割愛しますね。
続いて問3の(ア)
この問題に苦戦した人は多かったかもしれませんね。レベルの高い高校を受けない学生は時間的なことも考えると飛ばした方が良かったかもしれません。
下の図のように、長方形ABCDがあり、辺ABの中点をEとする。
また、辺BC上に点FをBF:FC=2:1となるようにとり、辺AD上に点Gを、線分DEと線分FGが垂直に交わるようにとる。
さらに、線分DEと線分FGとの交点をHとする。
AB=2cm、BC=3cmのとき、線分GHの長さを求めなさい。
まず、この手問題は過去問を遡っても多く出題されており、お決まりの補助線を引いて、相似な三角形を利用して比例式をたてることで解いていきます。
ちなみに途中式は割愛しているので、そこはご了承ください。
こんな感じです。
左側切れてしまったのはお許しください…笑
ちなみに、左側で線分DEの延長線と線分BCの延長線の交点を I とします。(写真にも微妙に書いてあります。笑)
まずは伸ばした分のIBの比や長さを出したいので、△EAD∽△FHI(直角と錯覚より角ADE=角BIEであるため)より△EAD:△FHI=1:1
問題文よりBC=3cmなので、AD=3cm
AD:IB=1:1よりIB=3cm
次に△EADにおいて、三平方の定理を用いて計算すると、ED=√10
△EAD∽△FHIより
3 : IH=√10 : 5
IH=3√10/2
同様の三角形の相似から、
3 : 3√10/2=1 : HF
HF=√10/2
また、DH=(IE + ED)−IHなので、
DH=(√10 +√10)−3√10/2
=2√10−3√10/2
=√10/2
そして、同様の三角形の相似より
GH : HF=DH : IHが成り立つので、
GH : √10/2=√10/2 : 3√10/2
GH=√10/6
A. √10/6 cm
続いて問4 関数
下の図において、直線①は関数y=x+6のグラフであり、曲線②は関数y=ax2乗のグラフである。
2点A.Bはともに直線①と曲線②との交点で、点Aのx座標は−3、点Bのx座標は6であり、点Cは直線①とy軸との交点である。
また、原点をOとするとき、点Dはy軸上の点で、CO : OD=6 : 7であり、そのy座標は負である。点 Eは線分AD上の点で、AE= EDである。
さらに、点Fはx軸上の点で、線分BFはy軸に平行である。
(ア)曲線②の式y=ax2乗のaの値として正しいものを答えなさい。
これはすでに点Aも点Bもx座標が出ており、直線①の上にあるので、座標を直線に代入すると
A(−3 , 3) B(6 , 12)
と座標を出すことができます。
上記二つの座標のうち、片方を曲線②y=ax2乗に代入し、aについて解くと
a=1/3
よって、 A. 2
(イ)直線EFの式をy=mx + n とするときの(i) mの値と、(ii)nの値として正しいものを、それぞれ答えなさい。
これは点Eが点Aと点Dと中点なので、
E(−3/2 , −2)
と出せます。
点Fは線分BFがy軸と平行なので、点Bとx座標が同じとなり、点Fはx軸上にあるのでy座標は07となるので、
F(6 , 0)
あとは、点Eと点Fをy=ax + bに代入し、それぞれを連立方程式すれば、aとbが出てくるので、
そこで出たa=m b=nになります。
m=4/15 n=−8/5
よって、A. (i) 4 (ii) 5
(ウ)線分AFと線分BDとの交点をGとするとき、三角形AGBと三角形DFGの面積の比を最も簡単な整数の比で表しなさい。
これも時間のかかる厄介な問題ですね。
まず、点Cはy軸上なのでx座標が0、それを直線①に代入するとy座標が出るので、
C(0 , 6)
続いて、CO : OD=6 : 7であり、点Dはy軸上なので、
D(0 , −7)
これでひと通り座標が出せましたね。
そしたら最後にGを出したいと思います。
まずは直線AFと直線BDを各座標から出し、この2つの直線をさらに連立方程式することでG座標を出すことができます。すると…
G(18/7 , 8/7)
そしたら、各三角形の面積を出していきましょう。
しかし、そのまま出そうとしても無理なので、線分BFを底辺として、三角形AFBと三角形BDFを出します。
まずは△AFBから
底辺はBF=12
高さは点Aから線分BFに引く垂線になるので、9
△AFB=12×9×1/2=54
次に△BDF
底辺は同じくBF=12
高さは線分BFから下に延長線を引き、そこに点Dから引く垂線になるので、6
△BDF=12×6×1/2=36
そして、
△AGB=△AFB−△BGF
△DFG=△BDF−△BGF
△BGFは底辺をBF、高さは点Gから線分BFに引く垂線になるので、
底辺はBF=12
高さ=6−18/7=24/7
△BGF=12×24/7×1/2=144/7
よって、
△AGB=54−144/7=234/7
△DFG=36−144/7=108/7
よって、△AGB : △DFG=234 : 108
これを簡単にすると
A. 13 : 6
問5 確率
右の図のように、2つの円O、O'がある。線分O O'上に2点 O、 O'とは異なる点Xがあり、線分 OXは円Oの半径、線分 O' Xは円O'の半径である。
また、円Oの周上には、3点A.X.Bが時計回りの順に並んでおり、円O'の周上には3点C.D.Xが時計回りの順に並んでいる。
さらに、点Aの位置に点Pがある。
大、小2つのさいころを同時に1回投げ、大きいさいころの出た目の数をa、小さいさいころの出た目の数をbとし、出た目の数によって、次のルール①、ルール②にしたがい、点Pを円周に沿って移動させる。
ルール①
aとbの和だけ、点Aを出発点とし、円の周上の点を時計回りの順に1つずつ移動させる。
ルール②
aがbの約数であるとき、点Xの次は円O'の周上の点を時計回りの順に移動させ、aがbの約数でないとき、点Xの次は円Oの周上の点を時計回りの順に移動させる。
今年の確率は一見ややこしいですが、シンプルに考えれば36マスの表さえ書いてしまえば、簡単です。
(ア)点Pが点Xの位置にある確率として正しいものを答えなさい。
これはまず、ルールはともかく、円Oを時計回りの順に移動させると4.7.10のときが点Xの位置に点Pが来る時で、点O'のときも4.7.10のときが点Xの位置に点Pが来る時になります。これは単純に数えます。
ちなみに、10止まりなのは2つのさいころの和は最大で12のためです。
1がないのもありえないためです。
そして、表はここでは割愛しますが、書いてみると…
(a , b)
=
(2 , 2) (1 , 3) (3 , 1) =4 3通り
(1 , 6) (6 , 1) (2 , 5) (5 , 2)
(3 , 4) (4 , 3) =7 6通り
(4 , 6) (6 , 4) (5 , 5)=10 3通り
全部で12通りあり、さいころの表は36マスなので
12/36=1/3
A.4
(イ)点Pが点Bの位置にある確率を求めなさい。
まずはこんな表になります。
今回は円Oの周上にある点Bにあるときの確率なので、円O'に行く数字の組み合わせは全て消去します。
つまり、ルール②から大きいさいころの出た目が小さいさいころの出た目の約数でない時の組み合わせのみを考えればいいのです。
なので、表で大きいさいころの出た目が小さいさいころの出た目の約数となっている組み合わせを全て消します。
するとこのようになります。
続いて、点Pが点Bに位置するのは、2つのさいころの和が2.5.8.11の時です。
しかし、2の時は先ほど消したので考えるべきは5.8.11です。
先ほど消したもの以外でその数を数えると全部で8つ。
よって、8/36=2/9
A. 2/9
問6 空間図形
下の図は、線分ABを直径とする円Oを底面とし、線分ACを母線とする円すいである。
AB=8cm、AC=6cm のとき 、次の問いに答えなさい。ただし、円周率はπとする。
(ア)この円すいの体積として正しいものを答えなさい。
円すいの体積なので
底面×高さ×1/3
なので、まずは高さを出します。
COを線で結び高さとし、、三角形CAOで三平方の定理を用いて計算すると、
CO=√20=2√5
つまり、体積は
(4×4×π)×2√5×1/3
=16π×2√5×1/3
= 32√5/3π
A.4
(イ)この円すいの表面積として正しいものを答えなさい。
今年はここが少し簡単になりましたね。
しかし、円すいの側面積の公式を覚えていないと解けないのでそこで焦った学生もいたかもしれませんね。
そんな円すいの側面積の公式は
母線×底面の半径×π
よって、
6×4×π=24π
そして、底面は(ア)で16πと出しているので、
24π +16π=40π
A. 2
(ウ)この円すいにおいて、円Oの周上に点Dを角AOD=120度となるようにとり、線分CDの中点をEとする。このとき、2点A.E間の距離を求めなさい。
まずは、点Eから線分ODに真っ直ぐ線を下ろします。その交点をFします。
点Eは線分CDの中点で、そのまま真下に下ろした点Fは線分ODの中点になります。
よって
ED=3cm
FD=2cm
三角形DEFで、三平方の定理の用いて計算すると…
EF=√5
あとは、三角形AEFは角EFAを直角とした直角三角形なので、あとはAFの長さがわかれば三平方の定理を用いて今回問われているAEを出すことができます。(下の図は参照)
そのAFを出すために、展開図のおうぎ形を書きます。
すると、半径4cm、中心角120度のおうぎ形ができます。(下の図)
そのおうぎ形のAとDを直線で結び、二等辺三角形を作ります。
中心角が120度なので、底角はそれぞれ30度になります。(下の図)
さらに、このおうぎ形はAFを出すためなので、それを線で結ぶと、FはODの中点なので、下の図のようになります。
そして、中心角を二等分する垂線を真下に下ろすと底辺が二等分されます。その垂線と底辺との交点をGとします。
すると、30度、60度の直角三角形がふたつできるので、半径から比を利用して、
AG=2√3 GD=2√3 AD4√3
下の図を参照
ここで、△AFDは直角三角形ではないので、FからADに向かって垂線を下ろします。その交点をHとします。
角FDAは30度、角FHDは直角三角形なので、残りの角DFHは60度なので、比を利用できます。
FDが2cmなので、比を利用すると、
HD=√3
FH=1 (→中点連結定理でも出せます)
△AFHにおいて三平方の定理を用いることでAFを出すことができます。
なので、AHを出します。
AG=AD−HD
AG=4√3−√3
=3√3
下の図参照
ここで△AFHにおいて三平方の定理を用いて
AF=2√7
そして、ここで最初に載せた三角形の図に戻り、△AEFにおいてAEを斜辺として三平方の定理を用いて計算すると…
AE=√33
A.√33cm
問7 平面図形 証明
(ア)証明は穴埋めで、答えの通りなので具体的な解説は割愛します。
(i) 同じ弧に対する円周角は等しい
これは単純に知っておきたい知識問題ですね。
前後の条件から同じ弧からつくられる円周角が等しくなっているので、こうした答えを埋めると良いですね。
(ii)A.E.F.Dは同じ周上にある
これは円周角が成り立つことから上記のようなことが言えます。
しかし、感覚的にわかっていても何と言葉にすればいいのかわからないという子が多かったのではないでしょうか。
(イ)
これはいかに角度が同じ箇所を◯などの記号使って表せるかですね。
上記の問題の(ii)が感覚的にわかっていれば解けますが、感覚的にもわかっていなければおそらく無理だと思います。
逆にわかっていれば、証明に沿って同じ角度を図に記していけば、案外簡単に出ます。
僕が解いた時の図です。
△は使わなかったので無視していいですが、このようにどことどこの角度が等しくなるのかを記号使って片っ端から表すこと、さらにそれを数字と組み合わせて等式として表していくこと、このふたつをどんどん書き出していくことが速く解くために必要だと思います。
まずは、証明に書かれている同じ角度になるところに◯、⚫️、◎で表していきます。
ここで、△DCBに注目します。
三角形の内角の和は180なので、
180=⚫️+◎+(30+⚫️)+◯
少し次の段階のためにまとめると
180=⚫️+⚫️+30+◎+◯
という式が成り立ちます。
問題文より、
96=◎+◯
なので、上記の式にこれを代入すると、
180=⚫️+⚫️+30+96
180=2⚫️+126
2⚫️+126=180
2⚫️=54
⚫️=27
次に△ADFに注目します。
すると外角の性質より、
30+27+◯=◯+角BFE
となります。
これを角BFEについて解くと…
角BFE=57+◯−◯
角BFE=57
つまり、
A. 角BFE = 57度
以上で神奈川県高校入試平成30年度の数学の解説は終わりです。
どうでしたでしょうか?
個人的に難しい箇所のみを解説しました。
これを先日解いて合格発表待ちの学生は、合格してもしてなくても、高校生活でも勉強がんばってくださいね!
これを過去問として受験の教材として、解いている現役の受験生も勉強がんばってください!
それではまた。
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